市山くじらや 

苦いかすっぱいか

 「このコーヒー、なんかどうかな?おいしいと思う?」
と友人にコーヒーを淹れたら、
「ああ、モカコーヒーだね、酸味があるの、苦手な人は苦手だよね、」
と言われて、はじめてモカって酸味が強いんだ、と知りました。
おいしい、と思って飲んでいたものは、どうやらブレンドコーヒーみたい。
そんな基本的なことも知らずに、この前お客さまに少し酸味のあるお菓子と一緒に
モカコーヒーをお出ししてしまったので、今思うと変な組み合わせだったかな、と後悔しています。
何が合うのか???探してみることにします。

 モカコーヒーといえば、寺山修司を思い出します。
存在を知ったのは、私が中学生のころでした。
没後何年も経っていましたが、たまたま買った雑誌に載っていたのです。
「どん底」というお店の前で佇む寺山修司のモノクロ写真が、なんと言うか、すごく魅力的で。
それをきっかけに、島での生活では、触れることのなかった世界を知って、彼の本を読むようになりました。
そこにつまった美意識を、わけもわからず咀嚼する時間を持てたことは運がよかったなぁ、
と今思うのですが、最初に買った本の末尾の解説に、十代に寺山修司を読むことができた人は
とても幸せだ、というようなことが確か書かれてあって、(失ってしまい、もう無い、涙。)
そのとおりかもしれない、と十代の頃も思っていました。
その当時、島の閉塞感の中で、励みになったことは大きいのです。
 
 高校の卒業文集は、見開きでやっとA4ほどの冊子で、しかも1クラスあたり、2ページ位で、
ひとり30文字ほどの割り当てしかありませんでした。
何を綴るのか迷った挙句、私を含め多くの友人が故郷を離れる季節、
寺山修司の作品の中で、「モカ珈琲」が入っているとても好きな短歌に、当時の自分の思いを託しました。
 今、陶芸という制作、創作の仕事に携わって思うのは、あのとき、
拙くても自分の言葉で何かを残す方がよかったな、ということ。姿勢、として。

 いつかモカコーヒーがおいしく飲めるといいなぁ、と思います。


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今朝、朝もやが晴れ行く景色の中で、秋らしいもの収穫しました。
by ichiymakujiraya | 2010-11-21 14:00 | 陶芸